「フランス渡航記その3」
パリ2日目。
こちらはホテルの朝食。パンにコーヒーである。
フランスでは大体こうらしい。私としてはドイツのビュッフェ形式の朝食の方が大変嬉しい。
今日はこのパリ渡航の本題である展覧会のオープニングの日である。
私たちはこのオープニングに参加する為にこのパリに来たのだ。
といってもオープニングは夕方からである。
私たちはそれまでの時間を使って早々に日本へのお土産を調達することにした。
ホテルを出て最寄りのオベルカンフの駅に向かう途中、大きな通りの間のスペースに昨日までは無かったはずのマルシェが立ち並んでいる。
我々は物珍しさにふらふらと見物していたのであるが、野菜や果物、魚や肉、衣服から鞄まで揃っている。中でも魚や肉はちょっとした衝撃である。
ぶつ切りにされた魚がヌラヌラとその表面を輝かせて無造作に並んでいる。兎が生きていたままの姿で、血を僅かに流しながら静かにそこに置いてある。
日本のスーパーで奇麗にラッピングされているものが肉ではなくて「おにく」であったこと、またそのことにすっかり慣れきっていたことに気付かされずにはいられない。
私たちは買い物をする為にパサージュに向かう。商店街の天井がガラスの屋根になっているあれである。
こちらがパサージュである。
我々はとりあえずガイドブックに載っているパサージュをくまなく廻ってみる。
丁度ルーブル美術館の北側の区画に、このようなパサージュになっている通りが何本もあるのだ。私たちは首尾よく画材屋を発見しお土産を調達する。
そうこうしているうちに時間は過ぎ、我々はホテルに戻りオープニングの支度である。
今回も「Libellule」のグループにはドレスコードがあり、出席者は赤と黒しか身につけてはいけないのである。我々は持参したスーツに着替え、いざ会場であるグランパレに向かう。
グラン・パレに到着。この建物はパリ万博のときにつくられたそうで、今では様々な企画展などの展覧会場として使われているとのこと。
正面中央に掲げてあるのが今回出品した展覧会である。この展覧会は毎年開催されているようで、日本で言うアートフェアのようなものであろうと思われる。その中のブースの一つに我らが「Libellule」が出品しているというわけである。
例によって心配症の私は随分と早い時間についてしまったため、グラン・パレの目の前にあるプチ・パレに向かうことになる。こちらは企画展や常設の展示もあるのだ。
こちらがプチ・パレ。プチと言ってもこの豪華さである。
企画展以外の入場は無料のはずだが係の人に止められる。少し離れたカウンターから男性がしきりに何かを訴えている。チケットを買うつもりはなかった私は遠巻きに男性を見つめながら右往左往する。
恐る恐るカウンターの男性に近づいてみると、日本語で「チケットただです」。ただそれを貰えば入れるのでした。オープニングを前にした私の緊張ぶりが伺える。
中には絵画や彫刻が並ぶ。
こんな絵もありました。習作なのでしょうか?一枚の画面に沢山描き込まれています。
こちらは中庭である。その周りはカフェとなっておりあまりにも素敵である。
そんなこんなでどうやらオープニングの時間が近づいてきたようである。
私たちは事前に日本に送られてきていた出品者用の招待状を手にグラン・パレに入場する。
会場中央にある展覧会の紹介ブース。中にはそれぞれのブースの紹介スペースがある。
こちらの丸い絵がかかっているのが我らが「Libellule」である。
今回の展覧会のテーマは「フェニックス&ドラゴン」。 作品の規定としてはメインとなる絵が直径90cmから2m40cmの円形。そこにフェニックス、或はドラゴン。もしくはフェニックスとドラゴンの両方を描くというものである。こちらにかかっている小さいものが直径20cmである。
この小さい作品ではわたしはドラゴンを描いてみた。
それがこちら。ドラゴンの紳士である。しかしこれはドラゴンというよりもリザードマンか。
私たちは「Libellule」のブースを目指す。
ここである。日本にも送られてきていた紹介記事も貼付けてある。
既に人が沢山集まっています。
とりあえず自分の作品の前で記念撮影。
こちらは直径が120cm。フェニックスである。
そうこうしている間に「Libellule」の主催者KANDLさんの奥さんで、いつもメールのやり取りをしているFrançoiseさんが私を見つけてくれ再会のハグである。当然このハグに慣れていない私は虚をつかれた格好になり、さぞかしぎこちなかったことだろう。
他にも出品アーティストの面々と再会を果たす。
こちらはドイツのZademackさんにSchmidさん。
こちらはフランスのBachelierさん。
時間となりグループでの写真撮影である。
一枚目。
ボジションが変わっての二枚目。
今回の展覧会では「Libellule」の五周年の節目として、「Libellule」のこれまでの展覧会をまとめた画集がつくられたのである。
会場にはその画集を手にした来場者が出品作家にサインをもらってまわっている。
私も自分の作品ページにサインである。
最後に主催のKANDL夫妻と記念撮影。
後ろにはLukasさんの描いた2m40cmフルサイズのドラゴンである。
この後は場所を変えての夕食会である。
ここフランスに住んでいる出品作家の一人Yo COQUELINさんとその旦那さんのMichelさんの自宅に招かれているのである。
私たちはMichelさん夫妻の車に同乗して移動である。
パリの中心部からやや離れた場所に立つマンションの5階。そのご自宅に足を踏み入れた私たちは愕然である。
広い、そしてあまりにもオシャレである。これが個人の自宅なのか。
ディナーのためのテーブルが整えられている。
食事もこの通り。
部屋にはなんと「はにわ」のような馬が、こんな馬鹿でかい物が平気で置いてあるのである。
続々とメンバーや関係者が集まり席を囲む。
会場は自由に食べたり飲んだり話したりと賑やかである。
今回こうしてかなり長い間メンバーの皆さんと一緒にいたのであるが、英語がほとんど喋れずに会話ができないのが流石に残念である。
それでも今回は何とか話をする機会も多く持てたので私としては満足であった。
そして、今回つくられた「Libellule」の画集を2冊、またこれまで出品したものの会場には行けなかった展覧会のカタログを2冊。そして招待して頂いたYoさんの画集も1冊を頂く。それにグラン・パレで手に入れていた展覧会の画集が1冊があり、このとき私が手にしていたのはハードカバー大の画集がまさかの6冊である。
そうして夜は更けていき、気付けば深夜の12時を回っている。つまり日本では朝の8時頃である。まだ時差に慣れていない私たちはこのとき既に徹夜状態で、このイベントに向けた緊張から、体力、気力ともに限界であり意識は朦朧である。
私たちは一緒に会場を後にしたメンバーのアドバイスを頼りに、メトロとタクシーを乗り継ぎなんとかホテルへの帰路に着いたのである。
長く、あまりにも長く充実した一日であった。