「ドイツ渡航記その5」
いよいよ我々は今回の旅の目的となった展覧会のオープニングに出席するべく、ミュンヘンを立ちヴィヒタッハを目指す。
展覧会場は山の中にある為列車が近くまで通っていない。そのためミュンヘンより北のレーゲンスブルクの駅で展覧会のスタッフの方と待ち合わせをしているのだ。そこから車で会場まで送ってもらう手はずとなっている。
ミュンヘンからレーゲンスブルクまで約1時間30分。
ビールを飲みながら外の景色を眺める。
それにしても広い。そして平らである。見晴らしがよく遠くまで景色が見通せる。
まさに空気遠近法のように遠くにいくほど景色が霞んでいくのがよく解るのだ。
レーゲンスブルク中央駅に到着。
この街は戦火を免れた為に古くからの街並がそのまま残っているそうである。
街全体が世界遺産とのこと。
待ち合わせの時間まではたっぷりと時間がある。
私たちはレーゲンスブルクの街を散策する。
ミュンヘンとはまた違う、静かな雰囲気である。
入り組んだ小道を抜けていく。
小道にはお店のショーウィンドウが並んでいたりする。
街の中心には広場があり、そこには大聖堂が佇んでいる。
写真の下側に映る人と見比べて頂きたい。
高さが105メートル。この巨大さはまさに大聖堂である。
入り口のゴシックの装飾がまた凄まじい。
内部に入ると丁度ミサだか何だかよく解らないのだが、兎に角パイプオルガンの荘厳な音楽が鳴り響き、司教だか何だか解らない人が何やら喋っているのに出くわしたのである。
これまでも何度も色んな教会に入って来たのであるが、ここは桁違いの大きさである。
巨大なパイプオルガン。
今まさにもの凄い重低音が鳴り響いているのだ。
ここまで圧倒的な空間に身を置くと自然に厳粛な気持ちになるのものである。
明らかに日常の空間とは違うある種の緊張が張りつめている。
私たちは大聖堂を後に北へと進みドナウ川へ。
ドイツ最古という石橋を渡る。
河畔にはすてきなお屋敷が。
橋のたもとにあるこれもドイツ最古というソーセージ屋でソーセージとビールを頬張った後、我々は駅へと少し引き返し帝国議会博物館へ。
帝国議会博物館入り口。
ここの見学はツアー方式となっている。ドイツ語の説明でさっぱり解らないのだが、置いてあった日本語のパンフレットを手に部屋を回る。
こちらは本当に使っていたという拷問器具。
恐ろしさと同時に興奮を感じるのは何故であろうか?
ツアーを回りながら気づけば刻一刻と約束の時間が迫っている。もうそろそろ駅に向かわないと間に合わない時間である!
途中で出られるような様子ではない。しかも、おじさんおばさんの移動がめちゃくちゃ遅い!
地下の死刑囚の牢獄の辺りで私の焦りがピークに達する。あまりの焦りで泣き出してしまいそうである!!
そうこうするうちにようやくツアーが終了。わたしたちは早足で駅へと舞い戻る。
何とか待ち合わせの時間には間に合い。送ってくれるスタッフの男の方と無事に合流。
私たちは車でヴィヒタッハへ。
レーゲンスブルクの駅から車で約1時間。
高速を時速180キロで飛ばす。
ドライバーの方はドイツ人でそれほど英語が得意ではない様子である。
周りの車を見るとけっこう日本の車が走っている。
何を話していいか解らない私は、「ディスイズジャパンカー」と日本車を指差し、ドライバーの方も「オオッヤーパン(ドイツ語でジャパン)」と返してくれる。
そこから日本車が通るごとに「ヤーパン、ヤーパン」とよく解らない盛り上がり方をしながら移動する。
ヴィヒタッハに近づくにつれ辺りは美しい景色に変わっていく。
ここがヴィヒタッハである。
あまりにも美しい景色、空気が驚く程澄んでいる。
車はあちらで用意してもらった私たちが今夜泊まることになるロッジが集まったキャンプ場のような場所に到着。
とにかく信じられないところにやって来たという感じ。
ミュンヘンでは日本人をかなり見かけたものが、流石にここまでやってくる日本人は少ないのではないだろうか。
私たちが泊まるロッジがこちら。
中のあまりの広さに驚く。
時刻は午後5時を回ったところ。オープニングは7時からである。
ここからはタクシーで会場まで向かう。タクシーは6時に迎えに来るそうである。
部屋を堪能する間もなく私たちは大急ぎで支度をする。
オープニングにはちゃんとドレスコードがあって、黒か赤の組み合わせ、黒のみかもしくは赤のみで、他の色は身につけてはいけないのである。
そして、いよいよオープニングに向かうのである。
その模様は次回にまわすことにしよう。