散文

貴方のこと、
貴方のその断片をどんなふうに張り合わせて、
貴方を造り出しましょうか。

何もない暗闇のその真ん中に、肉片が一つ、
貴方、
貴方と呼ぼう。
貴方は震えている。どうやら怯えているらしい。
何に?
見られることに?他人の視線に晒されることに?
そうだ・・・、貴方は怯えつつ求めている。
視線を、
でなければ貴方は存在することができないから、
だから、
私が見ている。
そ ...

散文

貴方を愛そうと思う。

だからまず、僕達が身にまとっているこの邪魔なものを脱いでしまおう。
それにはただ服を脱げばいいというわけじゃない。
ただ服を脱いだところで、僕達はちっとも裸にはなりきらないのだからね。

僕は君を愛したいんだ。

お互い、本当にすっかりと裸になろうじゃないか。
つまり、この自分という退屈な執着を脱ぎ捨てるんだ。
僕も、君も、自分が誰でどんな人間なのか、
美しいとか、醜いとか、何が好みで、何が嫌いだ ...

散文

 私が母親の子宮から生まれ落ちてから、もう一度この世界に生まれたのは、 当然のことながら私が最初に死んだ後のことでございます。

 幼少時代、私は信頼の中に生きていました。両親や他の大人達は、世界が、社会が、人生がどんなものであるのかを知っていて、何にも知らない私を調教して下さいました。しかし、「私が成長し、両親よりも頭の高さだけ高くなり、彼らの肩ごしに向こうを見ることができる」ようになると、私は「彼らの背後にはなにもない」ことに気づいたのでございます。私はちょうどこのときに一度 ...